ザ・リッツ.カールトン大阪の開業後、普段から自分の立ち居ふるまいを常に意識する習慣を徹底しました。ホテルにはスタッフが休憩や食事をとる社員食堂があります。スタッフは、そこに設置されている自動販売機からペットボトルに入った飲料を購入します。いま、私たちは普段の生活のなかで、ペットボトルの容器に直接口をつけて飲むことが多くなりましたが、リッツ・カールトンでは、それをしないようにしました。必ず、グラスに注いで飲むように習慣づけたのです。
理由はとても簡単です。もともと日本の文化には、こうした飲み物を入れた容器に直接口をつけて飲むという習慣はありませんでした。お茶は急須から湯飲茶碗に、お酒は徳利からお猪口に注いでいただくのが古くからの日本の美しき文化であり、ふるまいなのです。 わたくしが読んでいるこの本は、高野登著「リッツ・カールトンと日本人の流儀 人を動かす『洋の言葉』と『和の心』」(株式会社ポプラ社 2012年8月20日第一刷発行) 9月6日に平安堂長野店で、高野登さんの本書出版記念トークショーとサイン会がありました。先着50名との案内がありましたので、会社を少し休んで3時間前に駆けつけたのですが、たくさんの問い合わせがあったようで、場所を大きな会場に代えての開催となり、一旦店を出て、開演30分前に当書を購入の後会場に到着したわたくしも、一番前の席でお話をお聞きすることができました。 高野登さんは長野県の信越放送の朝の番組「高野登のホスピタリティって何だろう」に週一回出演されており、引用の話もその番組中でお伺いした内容です。日頃のなにげない立ち居ふるまいが、その後に自然とその人の行動に現れる具体的な例ですが、このような文字になり、また、ご本人からお話をいただくと、「日本人の流儀」といったものがいかに日本人を自立させ、それを守ることが単に日本人間の問題でなく、尊敬され自立する日本人を支えるものであるということまで強く自覚をしたところでした。 私が小学生の頃は板の間の食卓に正座をさせられて食事をとっていたところですが、それも伝えられた流儀だったのかもしれません。(単に貧しかったせいだとも思いますが。) 伊那食品工業の塚越会長のお話も本書の大きな部分を占めています。わたくしも本社にお伺いし、会長のお話を伺ったことがあるのですが、高野さんはまったく比べ物にならない、深い意味を読み取っていらっしゃいます。それは、物事をひろく受け入れる受容性の違いでしょうか。それこそが人間というものの価値を高めるものなのだと気づかされました。 いつもはBOOKOFFで一冊105円の本を買う私としては、その13冊分である1,300円+税のこの本はまさにお宝本となりました。 #
by epole
| 2012-09-16 16:25
| 小説にみる自販機
道端で、トーモロコシ、ギンナン、カシの実などを焼いて売っている。親しみが沸いたが、フグの前は空腹でいたいので素通りした。
「時代が生んだオートメーション酒場 五十円玉一ヶで自動販売器からあなたの好きなお酒がのめます」という大看板があった。 ここは味気ないが、ちょっと面白かった。いろんな銘柄の酒があり、二級酒だと一合、一級酒だと七勺ばかりの酒がでる。私はさまざま試み、つまりかなり飲んだわけだが、立って飲むのでどうも落着かない。いずれにせよ、自動販売器はあらゆる品種にわたって殖えてゆくことだろう。買うのが恥ずかしい品物などには好適であろう。たとえば焼芋。ドイツの公衆便所にはゴム製品のそれがある。 わたくしが読んでいるこの本は、北杜夫著「どくとるマンボウ途中下車」(中公文庫 昭和48年9月10日初版 昭和50年12月15日八版) 北さんは今回福岡のホテルに泊まったのだが、我慢ならぬホテルで、こんなホテルで食事をするのはイヤだと街に出たのであります。そこで出会ったのが「オートメーション酒場」で、そこではいろんな銘柄の酒が自動販売器で提供されていたようなのであります。そういえば、どこかの空港か商工会かで同様の取り組みがされていたことを思い出しました。 北さんの自動販売器への思いはさらに広がり、いずれ自動販売器は多くの品種にわたって増え、特に買うのが恥ずかしい品物には好適であると言及している。 やがて自販機ではえっちな雑誌やおもちゃ、DVDなど、焼芋なみに買うのが恥ずかしい品物に拡がるのだが、青少年への悪影響というあたりまえそうな意見におされ、各種条例により規制を受け、殆どの自治体から姿を消してるのはご案内のとおりであります。 ちなみに私はこれら条例は憲法に違反するものであるとの立場をとっています。 北さんのこの時代は「自動販売器」で、「自動販売機」ではないのだなあ。 #
by epole
| 2012-02-07 23:20
| 小説にみる自販機
蕎麦はまだ花でもてなす山路かな
弘法山古墳一帯は桜におおわれた前方後円墳です。 駐車場わきに、ダイドーの自動販売機と芭蕉の句碑が並んでいました。 Facebook始めました。そろそろ私も、姿を現す時期が来たのかもしれません。本来なら冬眠すべきなのかもしれませんが。 http://www.facebook.com/epole.jp #
by epole
| 2011-12-12 23:10
| 自販機の空間
簡単ー衝動買いを誘う仕掛け⑥
買うのに簡単な動作ですむ場合には、公式でいう分母の費用が軽減されるので、値ごろ感が上がる感覚が生まれる。携帯電話やインターネットでショッピングしたり、駅、道端の自動販売機での購買も同様である。ただし、女性は意外にも自動販売機を好まないという調査結果がある。女性はやはり男性と比べて簡単に乗せられない客のようだ(中略)。費用は価格だけでなく、付帯経費、機会費用からも構成されている。これらを合せた総費用が負担感の基礎になる。この場合は、機会費用を短縮することによる値ごろ感の上昇である。携帯電話のお財布ケータイ、ネット通販、道端の自動販売機はいずれも非常に簡便に商品を購入できる。 わたくしが読んでいるこの本は、徳田賢二著「おまけより割引してほしいー値ごろ感の経済心理学」(ちくま新書626 2006年11月10日第1刷発行 2007年4月5日第3刷発行) ここでいう「公式」とは、「値ごろ感」を、価値を分子、費用を分母とした比で示すもので、詳しくはぜひ本書を購入してお読みいただきたいところです。 物品を購入する等の何らかの行為を行う場合、人々は様々な価値感に基づいて判断し行動する訳ですが、本書では「値ごろ感」に着目して分析を試みる訳です。 自動販売機については「簡単」というキーワードと「ついで」というキーワードにより論じられている。 なぜ自動販売機で飲料を購入してしまうのか。それは、「そこに自動販売機があるから」という簡単な理由を思いついていたところですが、なぜ他のちゃんとした店舗で買わないのかと比較してゆけば、本書で論じる「値ごろ感」というのはいい感じである。 私が子供の頃自動販売機の飲料を欲しかった理由を思い起こせば、自動販売機で販売される缶飲料が、商店のショーケースで冷却された瓶の飲料と比べて冷たく感じたからでありました。自販機で買う缶飲料って、手に取った瞬間から凍り付きそうな冷気が手のひらに伝わってくるじゃない。あれは、瓶やペットボトルでは感じることの出来ない幸せな感覚なんだな。その価値を高く評価する子供の私には、自動販売機での缶飲料が費用に対して非常に値ごろ感が大きかったというところなのでしょうか。 「ついで」についてはまた次回。 #
by epole
| 2011-12-04 12:28
| 小説にみる自販機
今日(12月3日)放送のNHKテレビ「課外授業ようこそ先輩」の「先輩」は、ランドスケープアーティストの石原和幸さん。
世界最高峰のガーデニングの祭典、チェルシー・フラワーショーで3年連続金メダルを獲得し、世界一の庭師となった石原和幸さんの原点は、長崎市内で始めた小さな路上花屋。 その路上花屋は、自動販売機の置かれていたそのままの面積を借り、花を飾ったものだったようだ。 店頭の1平米は、自動販売機が置かれる限りはそれだけでしたかない。しかし、それは無限の可能性を秘めた1平米なのだ。 #
by epole
| 2011-12-03 22:02
| 番外
|
vending machines and Japanese
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