以前ひとりで合衆国の西海岸を一週間ほど歩いていたことがあり、飛行機なんぞなにするものぞと思っていたのですが、最近のネット化が進む中で、バーコードひとつ携帯電話に読み込んでセントレアに来てみると、最初に何をすべきかも、どこへ行くべきかもわからない。それで、田舎者にはなかなかできないことを、すなわち人に尋ねるのであります。もちろん笑顔の女性職員に。
すると、にこやかに預入れ荷物を持った旅人用の受付まで親切に案内してくれる。さらに行った先のカウンターの女性も、満面の笑みで迎えてくれますが、バーコードをかざすだけで搭乗便やら名前やらがでてくる仕組みに大げさに感心する私の様子に若干の不信感を与えてしまったようです。
さて、荷物も預けたし、搭乗手続きにはあと1時間もある。当然私の興味は空港内のすべての自動販売機にある。
セントレアの自動販売機はとても控えめで、目だったところにはあまりみあたらない。それがあるのは奥にながい自動販売機コーナーの脇に一列に、喫煙所の奥にひそやかに、コインロッカーの横に外を向いて並んでいるだけ。飲食店の食券も、多くの中で高山ラーメン一店だけが券売機を使用し、他はレジに人がいるのである。ただ、テレホンカードの自動販売機が電話機の横には必ず備えられている。
セントレアの飲食店は昭和レトロで統一的テーマで構成されていて、上を見ると、それぞれ日本屋根がついている。統一のコンセプトのなかにある。そこでは昔の駄菓子屋のように、人と人との関係を前面に出すことが求められ、自動販売機の設置は最小限となったものであろう。そういえば、各種保険の販売機も、すべて内側をむいたつくりなのである。
でも、このようなコンセプトにこそ適した自動販売機があるのではないか。そんな可能性を私は感じている。
ところで、日本の国際テレホンカードのデザインは、なかなかいいじゃないか。