自動販売機の研究をするなかでは、日本で設置された最初の自動販売機が何の自動販売機であったのかを確定することは結構重要なことなのです。
「自動販売機の文化史」(鷲巣)あたりでは、昭和期に書かれた雑誌の記載をもとに、上野公園に置かれた自動体量計とするのですが、私が見るところでは、その昭和期の雑誌が参考にしたと思われる元文献には確かに「体量計」は出てくるけれど「自動体量計」とは記されていない。その文献では浅草公園に設置された自動体量計が出てくることから、最初の自動販売機は浅草公園の自動体量計であると考えるのであります。なお、同文献にはたばこの自動販売機の記事も記されていて、自動体量計を自動販売機と認めない向きには、このたばこ自動販売機が国内設置の最初の自動販売機と考えるのが妥当だとするものであります。(詳しくは、信州大学にある私の論文を読んでみてね。)
さて、それはそれとして、明治期には浅草公園と並んで上野公園もずいぶんとにぎわっていたことが史料から伺え、奈良薬師寺展の日光菩薩、月光菩薩に博物館でお会いした後に公園を歩くと当時が偲ばれるのでありました。
たとえばこの公園案内所の「災害対応ベンダー」も、明治期の賑わいを現代につないでいる、そんな存在なのかもしれないなどと感じるのであります。(つづく)
博物館内の、日光菩薩様、月光菩薩様のちょうど中間、通常薬師寺の金堂内であれば薬師如来様がいらっしゃる場所に身をおいて、両側の菩薩様の存在を感じた私は、なんと幸せ者でありましたでしょうか。