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石垣市景観計画(案)と自動販売機
1月30日付けの八重山毎日新聞が、沖縄県石垣市が景観計画案(仮称)景観形成基準について市民から2月21日まで意見募集(パブリックコメント)を実施している旨を伝えています。

同記事では、計画が対象とする区域とその区域に設けられた今ある景観を保全あるいは今後の景観を創出する景観形成基準がポイントであり、例えば建物を新築する際の高さや色などに制限を設けるなど、島の景観を左右する重要な意味をもつとしています。

また、計画案では工作物はパラボラアンテナや電柱、電波塔に類するものは高さが13メートル以下。自動販売機は道路の境界線から0.5メートル以上後退させ、原色や彩度の強い色を避け、自然風景域や農村風景域では光量を抑えることとしている旨を伝えています。

石垣市景観計画(案)と自動販売機_a0003909_16461062.jpgもとを当たってみることとしました。
計画案は次のとおり8章で構成されています。
第1章 計画策定の意義と目的
第2章 計画の構成と位置づけ
第3章 石垣島の風景の変遷
第4章 石垣島の風景の将来像/a>
第5章 景観計画区域と計画区域の体系
第6章 良好な景観の形成のための方針
第7章 良好な景観の形成のための行為の制限
第8章 良好な景観の形成のためのその他の方針

第3章では、昭和初期から現在に至る島の風景の変遷が詳しく描かれていますが、自動販売機に関する記述はありません。
具体的に自動販売機が登場するのは第7章に入ってからで、
7-1 届出が必要な行為(届出対象行為) Ⅱ工作物に関すること のなかで、
「自然風景域のすべての地区ならびに農村風景域の農用地地区及び岡(むり)地区、及び市街地景観域の観音堂風景地区」、「農村風景域の集落地区」において、自動販売機の新設、増築、改築もしくは移転を行う場合が届出対象とされています。

また、「工作物の新設等を行う場合の景観形成基準」のなかで、
(2)個別基準 (16)自動販売機
・赤、青などの原色や、彩度の強い目立つものを避け、建築物の色彩に関する基準を準用しつつ、周辺の状況や背景となる風景の中にあって突出し、又は違和感を生じないようなものとする。また、主要な道路や集落内の道路から容易に発見できる位置に設置する場合は、道路境界線から0.5m以上後退することとします。
・自然風景域や農村風景域では、できるだけ光量を抑え、夜間の良好な環境に配慮することとします。
とあります。

この5年間で多くの地域で小売店での商品陳列面積は1.4倍となった一方、総売上額は横ばいに留まっているというデータがあります。このデータからいえば、郊外で繰り返され、美しく明るくデコレーションされた大規模商店出店は、私たちの暮らしを豊かにするものとはいえないのであります。

現在の商店や景観を大切にすることが豊かな生活の基盤となることがデータで明らかになりつつあるのだな。そのなかで、伝統の本瓦(赤瓦)や漆喰、石垣といった自然素材、光量を抑えた夜間の良好な環境に気づき保全しようとする石垣市の動きは、同市における豊かな時代の到来を予感させます。

(写真は石垣市HP掲載のものです。石垣市さん、転載してよいでしょうか。)
by epole | 2007-02-04 16:20 | 自販機の空間


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