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おまけより割引してほしいの自動販売機
簡単ー衝動買いを誘う仕掛け⑥
買うのに簡単な動作ですむ場合には、公式でいう分母の費用が軽減されるので、値ごろ感が上がる感覚が生まれる。携帯電話やインターネットでショッピングしたり、駅、道端の自動販売機での購買も同様である。ただし、女性は意外にも自動販売機を好まないという調査結果がある。女性はやはり男性と比べて簡単に乗せられない客のようだ(中略)。費用は価格だけでなく、付帯経費、機会費用からも構成されている。これらを合せた総費用が負担感の基礎になる。この場合は、機会費用を短縮することによる値ごろ感の上昇である。携帯電話のお財布ケータイ、ネット通販、道端の自動販売機はいずれも非常に簡便に商品を購入できる。

わたくしが読んでいるこの本は、徳田賢二著「おまけより割引してほしいー値ごろ感の経済心理学」(ちくま新書626  2006年11月10日第1刷発行 2007年4月5日第3刷発行)

ここでいう「公式」とは、「値ごろ感」を、価値を分子、費用を分母とした比で示すもので、詳しくはぜひ本書を購入してお読みいただきたいところです。
物品を購入する等の何らかの行為を行う場合、人々は様々な価値感に基づいて判断し行動する訳ですが、本書では「値ごろ感」に着目して分析を試みる訳です。

自動販売機については「簡単」というキーワードと「ついで」というキーワードにより論じられている。
なぜ自動販売機で飲料を購入してしまうのか。それは、「そこに自動販売機があるから」という簡単な理由を思いついていたところですが、なぜ他のちゃんとした店舗で買わないのかと比較してゆけば、本書で論じる「値ごろ感」というのはいい感じである。

私が子供の頃自動販売機の飲料を欲しかった理由を思い起こせば、自動販売機で販売される缶飲料が、商店のショーケースで冷却された瓶の飲料と比べて冷たく感じたからでありました。自販機で買う缶飲料って、手に取った瞬間から凍り付きそうな冷気が手のひらに伝わってくるじゃない。あれは、瓶やペットボトルでは感じることの出来ない幸せな感覚なんだな。その価値を高く評価する子供の私には、自動販売機での缶飲料が費用に対して非常に値ごろ感が大きかったというところなのでしょうか。

「ついで」についてはまた次回。
by epole | 2011-12-04 12:28 | 小説にみる自販機


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