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「孤島の鬼」の自動殺人機械
子供はただよくし込まれた自動機械にすぎないのです。なんという奇抜な、しかし身の毛もよ立つ思いつきでしょう。(中略)進化論者の説によると、子供は人類の原始時代を象徴していて、おとなより野蛮で残忍なものです。そういう子供を、自動殺人機械に選んだ蔭の犯人の悪智恵には、実に驚くじゃありませんか。

私が読んでいるこの本は、
『孤島の鬼』(江戸川乱歩著「孤島の鬼(江戸川乱歩全集3 昭和44年6月10日第1刷発行 昭和44年12月15日第6刷発行)」

江戸川乱歩の時代、自動販売機は既にちまたで活用され始めているはずなのだが、江戸川乱歩の作品中にはなかなかその記述が見当たらない。その仕掛けが不思議でありながら、完全に合理的であることが江戸川乱歩の世界観に沿わないものであったためなのだろうか。あるいは、自動販売機自体の不思議さが彼の作品の不思議を超えていたためであろうか。

「孤島の鬼」は、昭和4年1月から同5年2月まで「朝日」に連載された作品である。当時はすでに袋入菓子自動販売機、入場券自動販売機の普及が始まっているのだが、作品中にはその記載はなく、類似の用語として「自動機械」が使用されるのみである。
by epole | 2010-05-05 18:33 | 小説にみる自販機


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