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「車イスから見た街」の自動販売機
自動販売機も扱いにくいものの一つです。自動販売機のなかには、車イスから見れば押しボタンの位置が高すぎて、手がとどかないものがあります。たとえば、コーヒーが飲みたいと思って自動販売機に近づいてみると、コーヒーと書かれた押しボタンの位置は高くて、手がとどきません。ところが、ジュースの押しボタンなら低い位置にあり、押すことができます。しかたがない、ジュースにするか、となってしまうのです。押しボタンの位置によってそのときの飲み物が決まることになります。

わたくしが読んでいるこの本は、
村田稔著  『車イスから見た街』(岩波ジュニア新書238 1994年6月20日第1刷発行 1999年5月6日第12刷発行)

いまでは商品選択ボタンを真ん中くらいの高さにも設けた自動販売機が多くの場所で設置されるようになりましたが、この本の出た1994年当時はそのような配慮をした自動販売機の例があったかどうか。しかしながら、現在でも、路を歩いていてそのような自動販売機に出会うことは稀なのであります。
それでも、例えば商品の配列を、下ボタンで多くの種類の商品を選択できるようにすれば、わざわざ機械を改造・交換しなくても対応できる場合があるのではないかともわたくしは思いました。
昔の自動販売機はほぼ一列しか商品が販売されていませんでした。いまは数倍に商品の選択肢が広がっています。たとえば14列×3段の自動販売機の場合、42のボタンがあるわけですが、下の14のボタンを売上げの多い商品から割り振りますと、かなりの割合の需要に応えられるのではないかと思うわけです。

この文章は、車イスの人の商品選択の不自由ということのほかに、一般に自動販売機の使用者がどのように自動販売機で買う商品を決定するかを考えさせるものでした。
コーヒーを飲みたくて自動販売機に向かうのか、飲料を飲みたくて、できたらコーヒーがいいなぁと思って自動販売機に向かうのか。なんでもよくて、自動販売機を見て決めるのか。自動販売機が飲み物を飲みたくさせるのか。
特定の商品を欲しているのか。

成人向け自動販売機の立地はとても狭くて段差があって、とても車イスでは買いにいけない。このことをどのように考えるべきであろうか。車イスの人はエッチ本は書店で堂々と買えとでもいうのか。それとも、健常者が代わりに買ってきてあげるとでもいうのか!
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by epole | 2010-03-28 16:41 | 小説にみる自販機
「十九、二十」の自動販売機
ぼくは十九歳で、走るのは速いが、歩くのはとてつもなく遅い。例えば十年後、サラリーマンになったぼくは、歩くのが速くなっているのだろうか。そして、走るのは遅くなっているのだろうか。バス通りを曲がる角の自動販売機で煙草を買い、一本ふかしながら部屋へ向かう。夕暮れの気配が濃密になり、陽を背にして歩くぼくの影が路上を長くなぞる。(中略)

あれはいつだったろう。172号教室前の廊下で初めて言葉を交わしてから、僕らは何となく近くに座って講義を受けるようになった。ラウンジで一緒に紙コップのコーヒーを飲んだり、レポートを見せ合ったり。少しずつ、少しずつぼくらは接近していった。そして秋になった頃。そう、確か十月だ。祥子は学生証を失くし、証明用の三分間写真を撮るのだとぼくに告げた。授業の帰りしなに僕らは、街の古い映画館の前にある自動写真ボックスに立ち寄った。中に入って三百円入れると、自動的に三枚撮影する例のやつだ。(中略)

深い緑の匂いと、ヒグラシの声。例えば何年か後に、十九の夏を思い出そうとするならば、今この瞬間の場面が浮かぶのではないだろうか。そんなことを考えながら、ぼくは遊歩道を下った。シトロエンを停めた辺りまで戻り、今度は舗装道路沿いに酒屋を探す。ありがたいことにそれはすぐに見つかった。ポケットの小銭を使いきって、店先の自動販売機でワンカップを三本買う。


わたくしが読んでいるこの本は、
原田宗典著  『十九、二十』(1989年11月15日第1刷)

作者の原田さんは、先に紹介した「十七歳だった!」でもいくつかの自動販売機を登場させています。この小説では「煙草の自動販売機」と「自動写真ボックス」と「ワンカップの自動販売機」が登場します。
このころはもうすでに街中の屋外に自動販売機が置かれ、普通に使用されていたことがわかる。特に、自動写真ボックスについては「例のやつだ」と、読者とその存在を共有するような記述がされている。
私の大好きな映画「アメリ」でも、写真ボックスが重要な役を負っていたことを思い出す。

煙草の自動販売機は曲がり角で、そこには以前タバコ屋があったのではないか。角のタバコ屋というのは非常に馴染みのある印象がある。
また、主人公は酒屋を探すのだが、探し出したそこでは自動販売機でワンカップを買う。はたして彼は酒屋を探したのか。それとも自動販売機を探していたのか。

ラウンジで彼女と飲んだ紙コップのコーヒーも、どうやらカップ式自動販売機によるのではなかろうか。
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by epole | 2010-03-24 23:05 | 小説にみる自販機
日本経済新聞電子版を読み始める
日本フランチャイズチェーン協会が発表した2月のコンビニ売上高は5258億円だった。客単価が2.6%減と15カ月連続で下回った。たばこ自動販売機用成人識別カード「タスポ」導入による増収効果が一段と薄れたほか、主力の弁当類も伸び悩んだ。

私が読んでいるこの記事は、
日本経済新聞 電子版 2010/3/23 19:43

日本経済新聞は、このたびNIKKEI NETを終了。3月23日から「日本経済新聞 電子版」として生まれ変わりました。
「日本経済新聞 電子版」の新しい点は、有料会員となることにより、日本経済新聞の紙面そのままの朝夕刊を閲覧できることで、わたくしのように地方紙(信濃毎日新聞)以外に夕刊サービスの無い地域で全国紙を読む人のおおきな利益となることでしょう。このサービス、電子版だけでも4,000円かかるものが、通常の紙ベースの日本経済新聞宅配+電子版で、夕刊のない地域で4,568円というわけで、宅配新聞に合わせて電子版を使用すればたいへんお得な料金設定となっているのであります。

わたくしは現在日本経済新聞を宅配していただいていないなかで、電子版に登録し、本日から内容をしばらくチェックしていきたいと思っています。一番大事なのは、連載小説がいちはやく読めるかどうかなのだが。また、著作権等の関係でNETに掲載されない記事や広告もあるようなので、その辺を見極めて、5月以降継続して電子版を購読するかどうか決めたいと思っているのであります。

ニュースの内容は、伸び悩むコンビニの売上高。一時期のタスポ導入に伴うコンビニの煙草景気の退潮が進んでいるとのこと。それはそれで当然のことなのだけれど、いちはやく数字で報道出来るのが、やはり日経なのだな。
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by epole | 2010-03-23 23:32 | 自販機ニューズ
長野県有施設自動販売機設置事業者公募結果について3
今回の長野県による自動販売機設置事業者の公募結果で最も意外だったのは、「応募なし」「不調」とされた自動販売機が全体の約1割を占めたことであります。特に、高校、図書館及び警察施設でない「その他」の施設ではその約3割が「応募なし」「不調」とされました。
巷では、少しでもスキマがあれば、自動販売機を設置しようとするうごきがあるというのに。

役所に自動販売機が置かれる場合、貸付料(従来の行政財産使用料)とは別に、電気代の負担をすることとなります。これに対し、役所以外では、地主が自動販売機の売上益のいくばくかを受け取る代わりに電気代を負担することとなります。電気代は売上にかかわらずほぼ一定と考えられるので、売上の少ない自動販売機では、地主の収入は赤字となります。しかしながら、多くの地主はこのことに気づいていないか無頓着な様子です。
一方役所で自動販売機を設置する場合、この電気代を設置するのは設置者であるため、自動販売機の設置による利益が電気代を上回ることが必須となります。ゆえに、ペイしない自動販売機には応募者がいないこととなります。今回の「応募なし1割」は、このような理由によることと思われます。

さらに、私が憂慮するのは、災害対応型など、住民の利益に寄与する自動販売機の設置が進む中で、今回の公募入札による自動販売機導入が「安かろう」自動販売機の導入に向かうのではないかという危惧であります。
公共の場に設置されるものは、いままでその経済性はほとんど帰り見られなかったのですが、今その経済性を追求することが、住民の利益の後退につながるとすれば、それはよいこととはいえないと考えるのであります。

今回分析の資料作成手順のおぼえ
1 長野県HPから自動販売機設置者公募結果に係るPDFをダウンロード
2 いきなりPDFtoDATA EXでPDFデータをEXCELデータに変換
3 Office2010(ベータ版)により分析
4 新たに作成した表をPaint Shop ProでJPEGに変換
(これらはMac上のVM-ware Fusion2による仮想Windows XPによる。なお、ブログ本文はMac上のFirefoxで書きました。)
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by epole | 2010-03-22 20:48 | 役所の自動販売機
長野県有施設自動販売機設置事業者公募結果について2
さて、前回は長野県有施設自動販売機設置事業者公募結果について、自動販売機一台当たりとして金額を算定したところです。長野県の発表資料についても、1台又は2台の設置台数に応じた金額が掲載をされています。
しかしながら、従来の行政財産の目的外使用の考え方からいきますと、その使用料は一平方メートル当たりの金額がもともとあって、それに自動販売機の占拠する床面積(転倒防止装置を含む。)を乗じた金額が使用料として算定されていた訳であります。これは憶測ですが、今回の公募にあたっても、多分従来の方式により算定された額が、基準額として設定されていたものと考えられます。(今回の公募で設置者が決定しなかった43台中、「応募なし」が37台、「不調」が6台。6台は金額が合わなかったということではないかと思われるのです。)
それで、前回の表をもとに、一平方メートル当たりの表を作成してみました。
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こうしてみると、一台あたりの金額では区分間の違いが大きかったのですが(平均で図書館とその他が約5倍)、一㎡当たりでは接近しているのがわかります(平均で図書館とその他は約4倍)。図書館における自動販売機の設置面積がかなりゆったりとしているということでしょうか。
さて、一台あたりで最も決定額が高かったのは図書館の一台だったのですが、一㎡当たりでの決定額では、高校設置の一台が最も高いということになりました。

それにしても、高校設置の自動販売機で、賃借料収入が一億円以上というのは驚きであります。どうにか、利用者である高校生のためになるような財源と考えられないかと思うところです。
また、今回「指定管理者、県有施設内の食堂・売店を運営する事業者又は社会福祉団体が設置している自動販売機など、特別な事情がある場合」は公募の対象外とされたところですが、「指定管理者」と「社会福祉団体」が設置する自動販売機は別にして、「県有施設内の食堂・売店を運営する事業者」が設置している自動販売機が対象外とされたのは疑問のあるところです。それはその事業者は、別の業者にその業務を委託することにより、本来県に入るべき利益を自らの収益とする、あるいはそれだけの利益分を業者へ供出していることとなるからであります。
しかしながら、今回の公募の結果により、対象外とされた自動販売機がどの程度の賃借料を受け取ることができたかを推測出来るはずで、今後の食堂・売店の運営、公募に活かせるものとは思います。
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by epole | 2010-03-22 19:57 | 役所の自動販売機
長野県有施設自動販売機設置事業者公募結果について
長野県は、県有施設に平成22年4月から設置する自動販売機について、初めての入札制度導入による公募結果を公表しました。
公募の対象となった自動販売機は「指定管理者、県有施設内の食堂・売店を運営する事業者又は社会福祉団体が設置している自動販売機など、特別な事情がある場合」を除いた自動販売機で、募集開始は平成22年1月25日。3月上旬までに各施設で見積もり合わせが行われています。
長野県では募集開始の際はHPにプレスリリースを掲載したのですが、公募結果の発表はとくだんプレスリリースをされず、ただ、当初の自動販売機設置事業者募集のページに結果が記載されたPDFがリンクされるという公表方法がとられています。
このブログでは、長野県の公表したPDF表を独自にエクセル表に変換し、導き出した数字を使用します。そのため、現在は発表されていませんが、後に発表されるであろう長野県による分析とは若干異なる可能性がありますのでご承知おきください。
a0003909_15562845.jpg

長野県における今回の自動販売機公募の結果集計は上記表のとおりとなりました。
公募施設は140施設で、公募対象となった自動販売機は465台です。公募の結果、全体の89.5%に当たる416台について貸付が決定しました。全体での貸付料は145,383,338円(一億四千五百三十八万三千三百三十八円)。平均貸付料は349,479円/年。最高は県立長野図書館の一台で、1,981,000円/年となっています。
公募施設の内訳をみますと、全体の半数を超える269台が高等学校(グラウンドを含む)に設置されるもので、高等学校における自動販売機の需要の大きさが伺えるものとなりました。また、貸付料の金額としては、図書館が最も高くなりましたが、ついで警察施設が高い貸付料となりました。警察の金額が高いのは意外な感じがしますが、運転免許の更新など、ある程度の人数が一定時間滞在することから自動販売機に対する需要が生ずるのかもしれません。ちなみに警察施設で最高額となったのは、中南信運転免許センターの一台でした。

本来なら従前の貸付料との比較がなされるべきなのですが、長野県が今回公表している資料には従前の貸付料が記載されておらず、ここでも比較出来ませんでした。将来長野県がそれらを含めて公表することを期待し、その後独自に分析を行いたいと思います。
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by epole | 2010-03-22 16:14 | 役所の自動販売機
「私の履歴書 立石一真」の自動販売機その3
話は変わって、42年だったか、東京のとあるサラリーマン金融会社からローン・マシン(金銭貸し出し機)の注文があった。東京証券取引所上場会社の課長クラスを対象にクレジット・カードを発行し、それをローン・マシンに入れると自動的に2万円出てくる仕組み。返済は3ヶ月分の分割払い、年利3割ということだった。早速開発して1台納入、西銀座に据え付けられたが、場所柄、いっぱい飲みたい時の小遣いが威張って借りられると人気があった。
このローン・マシンのクレジット・カードには40年に米国のシカゴにある自動販売機の大手筋、キャンティーン社の依頼で、自動販売機用クレジット・カード・システムを開発した時の自主技術を使った。その後、ローン・マシンは進歩して44年10月、住友銀行の依頼でオン・ラインの自動現金支払い機となり、さらに中央の電子計算機につないで、自分の口座から直接預金が引き出せるオン・ラインの自動現金支払い機へと発展、46年8月、三菱銀行でスタートした。これも世界初の記憶すべき出来事である。
このほか47年から銀行の両替業務を無人化した1万円の万能両替機、48年には自動預金ができていよいよバンキング・システムが整ってきた。また高額自動販売機としては航空機搭乗券自動販売機も東京、大阪空港に各一台据え付けられ、日航、全日空共同使用(一万円入れると搭乗券とつり銭が出る)でごく最近実用化された。

わたくしが読んでいるこの本は、
立石一真著  『私の履歴書』(日本経済新聞に昭和49年5月連載。「私の履歴書 昭和の経営者群像5」 1992年10月20日1刷)

立石電機が担うサービスの入り口は、食堂から鉄道、そしていよいよ航空へとつながっていく。私はこれまで米国に3回、欧州に1回、中東に1回だけ渡航経験があるのだが、いずれも自動券売機を使用してこなかった。その存在すら知らなかったのであります。
昨年セントレアから那覇まで飛んだ際は、楽天のHPで航空券を予約し、携帯電話に覚えさせ、セントレアの全日空の窓口で搭乗券と引き換えになりました。これは本文中の立石電機の開発したシステムよりも進んだ形態だと思うのだが、今はもう2010年であり、立石電機が1972年に航空機搭乗券自動販売機を開発してから38年を経過しているのだ。
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by epole | 2010-03-21 21:40 | 小説にみる自販機
「私の履歴書 立石一真」の自動販売機その2
しかし、この開発で技術的には得るところが大きかった。それは私どもの自動制御技術に電子計算機を組み合わせて、サイバネーションという最新の技術を自主的に開拓できたからである。そしてそれがわが社のシステム開発の支えになって、次の発展を約束してくれた。
というのもそのうちに国鉄、私鉄あたりから乗車券自動販売機の要望が出てきたのだ。それまでも十円玉を入れたら入場券が出てくる程度のごく簡単な機械はあった。しかしもっと高度で精巧なものが欲しいとの注文。そこで私どもの開発した食券自動販売機を乗車券自動販売機に模様がえ、駅務の無人化用に使ってもらえるようになった。
この券売機はその後どんどん進歩して、今ではこのなかに精巧な印刷機まで内蔵して、48種類からの切符をなかで自動的に印刷して出てくるようになった。また金銭登録機も内蔵しているので、その日の出札を自動的に記録でき、人間の手間がずいぶんはぶけるようになった。また最近では、券売機を10台、20台と並べて全部連動し、つり銭も自動的に補給されるようにした群管理システムも実用化されている。これだと、おそらく10台のシステムなら30数人の省力化が出来るであろう。
その後41年には、近鉄との共同開発で自動改札ができ、42年にはこれと自動券売機を組み合わせて阪急・北千里駅に世界で初めての大規模な無人駅システムが出現するのである。
(続く)

わたくしが読んでいるこの本は、
立石一真著  『私の履歴書』(日本経済新聞に昭和49年5月連載。「私の履歴書 昭和の経営者群像5」 1992年10月20日1刷)

自動販売機といえば、明治以来、その精密な内部構造、日本古来の「からくり」の延長としてのしくみ ー お金を入れると中にある商品が確実に出てくる ー により発展してきたのですが、立石電機はこの時期に「システム」としての自動販売機で業界に参入した。
通常の物品を販売する自動販売機では、お金を入れて商品が出てくるまで、それ一台で完結を果たすのだが、立石電機の自動販売機は、その機械だけでは完結しない。食券の自動販売機は食券が出るだけで、本当のサービスはそこから先、食堂の窓口でされる。また、駅の券売機も、サービスは鉄道に乗車し、目的駅を出るところで完結する。その中のシステムの一つとして、立石電機の自動販売機が存在するのである。
そしてそれはシステムの入り口を担うことにより、駅に入場し退場するという、大きな需要への対応を可能としていったのである。

立石電機の自動改札機開発については「通勤ラッシュを退治せよ〜世界初・自動改札機誕生(プロジェクトX挑戦者たち10 夢遥か、決戦への秘策)」に詳しい。ちなみに私はこの本をBookOffで105円の一割引で購入したのだが、その扉口には、プロジェクトXのキャスターである国井雅比古さんの「思いはかなう!H15.2.21」というサインがありました。
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by epole | 2010-03-21 10:35 | 小説にみる自販機
「私の履歴書 立石一真」の自動販売機その1
ちょうどそんなころ、昭和38年に京都大丸から地階の飲食コーナーに自動券売機を据え付けたいから作ってくれといってきた。それも単純な性能のものでなく、七種類の食券を百円、五十円、十円の三種類のコインを使ってーもちろんその真偽も見分けて、つり銭まで出るものをという。当時としてはなかなか出来そうもない高度な販売機である。しかし、難しいものに真っ先に取り組むというのが私の主義なので、とにかく引き受けた。しかし、これを成功させるには二つの技術開発を必要とした。コインの真偽を見分けるパターン認識と、少なくと三ケタの加算と減算のできる電子計算機である。
前者に付いては、その前の年に“チ37号事件”といって、大量のニセ千円札が横行して警察を悩ませたことがあった。そのとき科学警察研究所から私の社にニセ札発券機開発の要請があり、8日間でそれを作り上げた経験があるので、その技術を使えばよい。後者については全く初めてのことなので、ずいぶん戸惑ったが、ともかくその困難も乗り切った。そして入れた硬貨の合計やつり銭の表示も出来るような自動券売機を七台作って納入した。
一度評判も聞きたいし、お客の反応も見たかったので、お忍びでコーナーをのぞいてみたら田舎のおばあさんがこの券売機を見て「中に人間でも入っとるんかいな」とけげんな顔でながめていたので、私もちょっと得意になった。これは他にも販路が広がると期待したが、案に相違してこの食券自動販売機はその後さっぱり注文がなかった。
(続く)

わたくしが読んでいるこの本は、
立石一真著  『私の履歴書』(日本経済新聞に昭和49年5月連載。「私の履歴書 昭和の経営者群像5」 1992年10月20日1刷)

立石一真氏は、立石電機製作所、現オムロン株式会社の創業者で、この「私の履歴書」は、昭和49年の5月に日本経済新聞に連載されたものであります。
本文によると、オムロンが京都大丸から依頼を受けて、初めて自動販売機に取り組んだのが昭和38年とされています。
この昭和38年(1963年)という年は、日本の自動販売機業界にとって、特筆される年なのでして、同年4月に東京晴海で開催された第5回国際見本市では、アメリカ政府が自動販売機をテーマに展示を行い、同年12月には業界団体である「日本自動販売機工業会」が設立され、これ以降、自動販売機の生産・出荷台数についてもしっかりとした統計がとられるようになります。立石電機でも、同年4月に開発したベンジスタと呼ばれる電子販売会計機と紙幣両替機を開発し、国際見本市へ出品をしています。(参考文献:自動販売機20年史(日本自動販売機工業会))

ところで、「チ37号事件」で偽造された千円札は、聖徳太子の千円札でした。この事件をうけ、昭和38年11月1日、新しく伊藤博文の千円札が発行されました。また、昭和42年2月には、100円、50円の新硬貨が発行されました。
これらの硬貨がその後長期間継続して使用されることにより、主として100円以下の商品を扱う自動販売機の普及が加速することとなります。
(昭和39年に開催された東京オリンピックの段階では、なお100円はお札の方が多く使用されていたというのは、今では想像もつかないことです。それだけお金の価値が違っていたのでしょう。)

立石一真氏の「私の履歴書」には、まだ自動販売機に関する記述が続きます。
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by epole | 2010-03-20 23:13 | 小説にみる自販機
「道程」以後『上州川古「さくさん」風景』の自動鉞
第一、聲が出ないぢやないか 聲を出すのはあの自動鉞だけぢやないか 高利のやうに因業なあの刃物だけぢやないか

私が読んでいるこの詩は「「道程」以後『上州川古「さくさん」風景』」(高村光太郎著。豪華版日本現代文學全集16 高村光太郎集収録。第1刷發行昭和44年1月30日 第13刷發行昭和51年7月10日)


これも自動販売機ではないのだが、「自動鉞(まさかり)」
「鉞(まさかり)」は、日本では金太郎さんが担いでいたことで知られるところのもので、「斧」の刃渡りの広いものを指すようだ。そこで「自動鉞」なのだが、なかなかWEB検索してもでてこない。しかしながら、鉞が斧であるとすれば、自動鉞とは薪割り機のことではなかろうかと私は推測をする。その「自動鉞」を高利のように因業とする詩人の感性。
詩の舞台はどうやら群馬県みなかみ町川古(かわふる)の木酢液工場のようだ。ここで音を発するのは、ただ自動鉞だけである。
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by epole | 2010-03-20 06:17 | 番外