「大東京バス案内」の自動販売機
少し歩いたところにあった牛乳屋で、僕はまた捕まった。牛乳自動販売機に張りつけられた”コピー”がなかなかいい。
「健康に 一味ちがう ビン牛乳」
珍しい、ビン入り牛乳専用の自販機である。
「一味ちがうビン牛乳」そう、わかっているではないか。確かに、ビンの牛乳は紙パックのと一味違う、のだ。
コピーに負けて、空きっ腹にビンの牛乳を一気にかっこんだ。コーヒー牛乳の誘惑にも駆られたが、健康を考えて、白、にした。(清洲橋を渡って深川へ)

とりあえず、一キロほど先の江戸川河川敷まで歩いてみた。梅雨の晴れ間の陽射しの強い日で、堤の草地に腰掛けて自販機で買ったカルピスウォーターをゴクゴク飲む。蒼く輝く江戸川の向こう岸に、クルーザーヨットが何隻か停泊している。もはや周囲には家並が密集して、郊外の気配はないが、こういった広い川の堤までくると開放的な気分になる。(鹿骨にホオズキを見に行く)

私が読んでいるこの本は「大東京バス案内」(泉麻人著 1995年1月から1996年12月にかけて『週間小説』に連載)

一時期各地にあった、紙パック入り一リットル牛乳自動販売機はまったく見られなくなりましたが、最近では屋内を中心に、ビン牛乳の自動販売機が増えてきているような気がします。それは、やはりビンで飲む牛乳のほうが、紙パックにはいったものよりもずっと美味しいことによるものだと思っています。それはコーラも同じで、そちらはコンビニでときどき見かけるようになっています。

バスを中心に、なつかしい東京の姿を追うこの本では、自動販売機の描写がこの2カ所しかない。そもそも自動販売機なんぞというものはどこいらへんにもあるもので、特に東京を表すものでもないから書くまでもなく、かえって特色を失わせるものなのだな。

しかしながら、さりげなく出現する「カスピスウォーターの自販機」は、すこし東京らしくて面白い。なんとなれば、東京都内は、田舎では想像もつかないほど、カルピスの自動販売機の設置数が多いのだ。都内で暮らす人には気がつくことはないだろうが。
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by epole | 2009-04-22 21:32 | 小説にみる自販機


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