「横道世之介」の自動販売機
「俺さ、どっちみち大学辞めようかと思ってたんだよ」
結局、珈琲代が惜しいからと、倉持はお濠が見下ろせる遊歩道のベンチに世之介を連れて行った。途中、自動販売機の前で、「何、飲む?遠慮せずに好きなの言えよ」としつこく訊くので、「じゃあ、ファンタオレンジで」と、世之介は自らボタンを押した。

私が読んでいるこの文章は「横道世之介(148)」(吉田修一著。毎日新聞連載中)

毎日新聞連載中の「横道世之介」は、1980年代が舞台の青春小説らしい。「お濠を見下ろすことができる→お濠が見下ろせる」のような短縮はこのころからのものか。最近私が多読する明治期の小説類にはこのような用法は見あたらない。
「珈琲代が惜しい→ベンチに連れて行く→ファンタオレンジで→ボタンを押す」というのは、なかなかテンポよく、行間を読む感じがある。昔の人が読んだら何のことだか分からないだろうが。

普段はあまり新聞小説など読まない私でありますが、本日(2008年(平成20年)9月27日(土))の毎日新聞統12版9面(経済)の最下段に置かれたこの連載小説のなかに「自動販売機」を発見するというのは、野生の勘というべきか、それとも職業病か。
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by epole | 2008-09-27 07:37 | 小説にみる自販機


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