「サブミッション」の自動販売機
慣れないワインでリカの足元がふらついている。駅までなるべく遠回りして、と本木に頼んだ。ビールの自動販売機を見つけると、喉が渇いたわ、そのままへたりこんでしまった。並んで歩道に腰を下ろし、缶ビールを飲んだ。通行人の視線が気にならないほど、二人とも酔っていた。

わたくしが読んでいるこの本は、
荻野アンナ著 『サブミッション』

雑誌記者の日常の一部分を切り取って文字を打っただけのようなこの作品はわたくしには難解で、何回読んでもなにもこころに残らない。ただ、そこにはビールの自動販売機があって、ワインをしこたま飲んでいるにも関わらっず、二人はその機械で缶ビールを買って、歩道に腰をおろして飲むのである。
この短文が書かれたのは1990年。いわゆるバブル末期。小説もその登場人物も不安定なのである。その不安定な中に、自動販売機もある。

ちなみに、萩野アンナさんはこの翌年の1991年、『背負い水』で第105回芥川賞(1991年上期)を受賞した。
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by epole | 2008-04-05 23:12 | 小説にみる自販機


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