「うたかた」の自動販売機
「でも、毎日会える夫婦がうらやましくないの?」
私は言った。母はぴたり、と歩みをとめた。仕方ないので私も立ち止まり、のどがかわいていたのでついでに自動販売機でウーロン茶を買い、母にも1本買ってあげた。

わたくしが読んでいるこの本は、
吉本ばなな 著 『うたかた』(第99回芥川賞候補作)昭和63年上半期

母は私の言葉に突然立ち止まる。そうしたら、そこにたまたま飲料の自動販売機があったのである。それまで私と母はのどの渇きを自覚していなかった。あるいはどこかで飲料を購入しようと考えてはいなかった。そこに自動販売機があったことで、私は「のどの渇き」を強く自覚し、「ついでに」飲料を購入するに至るのである。
二人はそこに立ち止まったまま、その場で飲み干す。やがてお茶の缶は「からん」とゴミ箱に捨てられる。

最近ではお茶飲料の殆どはペットボトルで販売されているが、500mlペットボトルが販売開始したのは平成8年にすぎない。出現して数年で、ペットボトルは飲料用容器市場を席巻した。
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by epole | 2007-04-25 06:23 | 小説にみる自販機


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