蛍酒場の自動販売機
陽の昇るにはかなりの時間がある。大通りは人っ子一人通っていない。犬の姿もない。信号だけが無意味な点滅を繰り返している。光の差さない、それでいて明るい空気のなかで信号灯は奇妙に鮮やかだ。
「ここで水を飲むとどうなるの。重力が単にわん曲した空間であると言うのなら・・・・・・」
三角野郎がぶつぶつ呟きながら、道端の自動販売機に近付いていった。
「馬鹿、早くしろ」と一人笑いの青年が言った。みんなはめいめいで百円玉を入れ、コカ・コーラを飲んだ。

わたくしが読んでいるこの本は、
三枝和子 著 『蛍酒場』 (単行本『野守の鏡』昭和55年)

昭和55年度の自動販売機の普及台数は4,581,650台。昭和39年度以来、前年度比10%程度の増加を見せてきた自動販売機ですが、この年は前年度比108.6%。以後現在までこれ以上の伸びを示す年はありません。

小説の大通りの両脇は、右も左もキャベツ畠。そのなかに信号機と自動販売機が存在しています。
道端の自動販売機は、多分赤いコカ・コーラの缶の自動販売機。ファンタオレンジやファンタグレープ、スプライトなどが並んで売られるなかで、みんなコカ・コーラを買ったのだな。
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by epole | 2007-04-08 07:32 | 小説にみる自販機


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