居酒屋兆治の自動販売機
a0003909_6303820.jpg風が吹くと寒い。しかし、兆治は頸筋に汗をかいていた。それは、駅前の自動販売機まで煙草を十箇仕入れに行ってきたからだった。

わたくしの読んでいるこの本は、
山口瞳 著 『居酒屋兆治』 第一話 霧しぐれ

山口瞳さんといえば、丸顔で、めがねをかけて、サントリーウイスキーを飲んでいるというイメージがわたくしにはあって、それはどうもテレビコマーシャルの影響であったようなのであります。
自動販売機が急速に普及した時期は、テレビが急速に普及した時期と重なります。

居酒屋兆治は昭和54年(1979年)10月から「波」に連載。冒頭の一節は、まさしくこの小説の冒頭の一節なのであります。

日本でたばこの自動販売機が最初に置かれたのは昭和33年(1958年)で、昭和34年(1959年)には184台、昭和40年(1965年)には3606台だったのが、昭和45年(1970年)には39867台、昭和50年(1975年)には177132台と急増し、この小説が連載された昭和55年(1980年)には32万台を超えています。(平成18年(2006年)現在の設置数は565200台)

しばらくまえの小説を読むと、人々はたばこ屋を求めてながい道のりを歩くのだけれど、この小説に至って、ひとびとは自動販売機に向かって歩くようになったことが確認できました。
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by epole | 2007-03-28 06:42 | 小説にみる自販機


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