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明治事物起源の自動販売機
自動體量計の始
明治廿一年二三月頃より、府下銀座の岩谷松平の仕掛けたる自動煙草賣函は、久しからずして廃したりしが、同年夏頃より、踏臺に上りて、一銭銅貨を入るれば、己の體量を示すべき自動器械を、浅草公園に仕掛けし者あり。翌年夏ころには府下各所の氷店水茶屋等の前に之を仕掛くるに至れり。

石井研堂著「明治事物起源」(発行所 橋南堂  明治四十年十二月廿五日印刷 明治四十一年一月一日発行)

自動體量計の始
明治九年七月、東京上野公園内大佛下勝覧所のちらしに、
 量體器御一名御試験金二銭、新聞紙縦覧通覧同三銭、集會貸席廉價に御相談可申候とあり。
明治二十一年二三月頃より、府下銀座の岩谷松平の仕掛けたる自動煙草賣函は、久しからずして廃したりしが、同年夏頃より、踏臺に上りて、一銭銅貨を入るれば、己の體量を示すべき自動器械を、浅草公園に仕掛けし者あり。翌年夏ころには府下各所の氷店水茶屋等の前に之を仕掛くるに至れり。
二十九年五月の〔圓珍〕に、一度銭を投じて二人の體量を量る狡猾者のあることを記せり。

石井研堂著「明治事物起源」(刊行所 春陽堂  大正十五年十月十五日印刷 大正十五年十月十八日発行)

「明治事物起源」は、明治期のさまざまな事物について記載した書物であります。初本は明治40年に印刷、翌年発行されており、大正15年になって更に内容を加えて発行がされています。
この際「自動體量計の始」については明治9年7月に、上野公園に「量體器」が置かれた旨の記述が加わっているのであります。
後に発行された他の文献には、自動體量器が「我国にては明治9年7月の頃すでに東京上野公園の中に自動體量計が設置せられ、その試験料は一名につき金二銭であったという。」といった記載をしたものが登場し、それを真に受けた最近発行の書籍も存在するのですが、その内容は明治事物起源の記事に酷似していること、明治事物起源(大正版)以降に発行されていること、そして、上野公園に「自動」體量計を設置したとの資料が他に見当たらないことから、私はそれは「明治事物起源」でいうところの単なる「體量器」を「自動體量計」と誤解して記載したものと考えています。
その上で、日本で最初に設置された自動販売機は「明治二十一年二三月頃より、府下銀座の岩谷松平の仕掛けたる自動煙草賣函」だと考えるのであります。
ただし、この「自動煙草賣函」がどのような物であったかを示す資料にまだ行き着いていないのであります。
いま自動販売機といえば一般的に、お金を入れると自動的に商品が排出される器械をいいますが、例えばイギリスにおいての初期のたばこの自動販売機は、お金を入れると掛金が外れる煙草箱で、購入者は開いた箱の中から煙草をさじですくって、また箱を閉めるといったものでありました。
しかしながら、岩谷商会の煙草製品といえば、「手巻きの口付きたばこ「天狗煙草」」でありまして、さじで煙草の葉をすくうようなものとは異なります。もしかしたら本格的な、お金を入れると商品が出る自動販売機が存在したのかもしれないのであります。
当時の自動販売機について、どなたか史料をお持ちでしたらご提供をいただきたいのであります。
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by epole | 2011-11-06 16:57 | 小説にみる自販機


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