「町おこし」の経済学の自動販売機
小布施の町には、古い伝統ある家屋が多く残されている。いまから約20年前に北斎館・小布施堂周辺(1.6ha)を中心に、景観の統一運動がはじまった。ここの界隈にある店の特徴は、土壁、白い漆喰づくり、切妻屋根、格子窓、二階程度の高さに統一されている。看板は、土や石など自然材で作られ、ネオンサインや電光板は、原則として廃止された。自動販売機は木製の格子で覆われ、目立たないようにした。(中略)
景観基準は条例になり、景観に調和した建物、生け垣、広告物に対しては、補助金が支給され、とくに優れたものには賞が与えられた。看板や自動販売機については、景観を損なわないよう、デザイン、色、設置場所が規定された。

私が読んでいるこの本は「「町おこし」の経済学」(竹内宏著 2004年5月10日初版印刷2004年5月20日初刷発行)

長野県上高井郡小布施町に関するレポート。その優れた街づくりに対して多くの研究者が訪れている。
小布施の町並みは、町に住む人々にとっては当たり前の風景で、たとえば修景地区に古めの建築物が多いといってもすべてではなく、屋根の平らなビルディング風建築物が混在していたり、古めといってもそれほど伝統あるというほどの古さでもないことが保存にブレーキをかけがちなのだが、ここ小布施では優れた指導者による導きによりその風景の価値を来訪者が認め、研究者が認め、地元の人々が認め、いよいよその価値を高めていっている。

私がここで読むのは「自動販売機」の部分であるが、残念ながら小布施町にはここに記述されたような景観に配慮した自動販売機は現存していない。たまに町人が景観に優れたとするのも、たとえば駅前の木下ラジオ店前のこげ茶色をした飲料自動販売機なのだが、これはそのへんのどこにでもある、安易な言い訳程度のめだたないような色で全体を一色に塗られた自動販売機というだけである。隣に置かれたふる~い廃自動販売機のほうがむしろ町並みには合っている。

引用文に記載された自動販売機は確かに修景地区の小布施堂本店前に設置されていたのですが、店先に自動販売機があることにより「お客様が店員と会話をされなくなった(小布施堂セーラ・マリ・カミングス取締役談)」ことにより撤去されています。
それは優れた判断だと思うのではありますが、一方、その自動販売機がいま置かれているとすると、『むしろそこに有ることが優れた景観をよりひきたたせる』自動販売機として存在していたのではないかと、残念にも思うところです。
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by epole | 2010-10-10 11:33 | 小説にみる自販機


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