「私の履歴書 立石一真」の自動販売機その2
しかし、この開発で技術的には得るところが大きかった。それは私どもの自動制御技術に電子計算機を組み合わせて、サイバネーションという最新の技術を自主的に開拓できたからである。そしてそれがわが社のシステム開発の支えになって、次の発展を約束してくれた。
というのもそのうちに国鉄、私鉄あたりから乗車券自動販売機の要望が出てきたのだ。それまでも十円玉を入れたら入場券が出てくる程度のごく簡単な機械はあった。しかしもっと高度で精巧なものが欲しいとの注文。そこで私どもの開発した食券自動販売機を乗車券自動販売機に模様がえ、駅務の無人化用に使ってもらえるようになった。
この券売機はその後どんどん進歩して、今ではこのなかに精巧な印刷機まで内蔵して、48種類からの切符をなかで自動的に印刷して出てくるようになった。また金銭登録機も内蔵しているので、その日の出札を自動的に記録でき、人間の手間がずいぶんはぶけるようになった。また最近では、券売機を10台、20台と並べて全部連動し、つり銭も自動的に補給されるようにした群管理システムも実用化されている。これだと、おそらく10台のシステムなら30数人の省力化が出来るであろう。
その後41年には、近鉄との共同開発で自動改札ができ、42年にはこれと自動券売機を組み合わせて阪急・北千里駅に世界で初めての大規模な無人駅システムが出現するのである。
(続く)

わたくしが読んでいるこの本は、
立石一真著  『私の履歴書』(日本経済新聞に昭和49年5月連載。「私の履歴書 昭和の経営者群像5」 1992年10月20日1刷)

自動販売機といえば、明治以来、その精密な内部構造、日本古来の「からくり」の延長としてのしくみ ー お金を入れると中にある商品が確実に出てくる ー により発展してきたのですが、立石電機はこの時期に「システム」としての自動販売機で業界に参入した。
通常の物品を販売する自動販売機では、お金を入れて商品が出てくるまで、それ一台で完結を果たすのだが、立石電機の自動販売機は、その機械だけでは完結しない。食券の自動販売機は食券が出るだけで、本当のサービスはそこから先、食堂の窓口でされる。また、駅の券売機も、サービスは鉄道に乗車し、目的駅を出るところで完結する。その中のシステムの一つとして、立石電機の自動販売機が存在するのである。
そしてそれはシステムの入り口を担うことにより、駅に入場し退場するという、大きな需要への対応を可能としていったのである。

立石電機の自動改札機開発については「通勤ラッシュを退治せよ〜世界初・自動改札機誕生(プロジェクトX挑戦者たち10 夢遥か、決戦への秘策)」に詳しい。ちなみに私はこの本をBookOffで105円の一割引で購入したのだが、その扉口には、プロジェクトXのキャスターである国井雅比古さんの「思いはかなう!H15.2.21」というサインがありました。
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by epole | 2010-03-21 10:35 | 小説にみる自販機


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