「プラナリア」の自動販売機
真夏の午前十時はもう太陽がじりじり照りつけていたが、駅まで行く途中でチビケンが寄って行こうと言った公園はジャングルみたいに木々がうっそうと生い茂っていて、木陰のベンチはひんやりと心地よかった。  「新宿のあの部屋、よくないよ。」  自動販売機で買った缶のウーロン茶を飲みながらチビケンはそんなことを言いだした。
(「ネイキッド」から)

雨の国道を車はワイパーをせかせか動かしながら走っていった。いつも通りかかるパチンコ屋や自動販売機の明かりが滴に滲んで後ろに飛んでゆく。行きに必死で自転車を漕いできた道が車だとあっという間だった。車は交差点の赤信号で止まった。
(「どこかでないここ」から)


わたくしが読んでいるこの本は、
山本文緒著  『プラナリア』(第124回直木賞受賞。2000年10月30日第1刷2001年1月25日第4刷)

「ネイキッド」に登場するのは公園に置かれた飲料の自動販売機。私には、公園には飲料自動販売機が多く置かれるような印象があったのだが、小説で確認したのはここが初めて。そういう小説を読んでこなかったということだろうか。
「どこかでないここ」では、車内からみる風景の中で流れる街中の自動販売機。いつも見慣れた自動販売機のあかりが次々と後ろに流れていく。

自動販売機は出てこないけど、この短編集で私が一番好きなのは「あいあるあした」。
やはりハッピーエンドになってほしいのだ。
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by epole | 2010-03-13 09:48 | 小説にみる自販機


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