「遅すぎたプロポーズ」の自動販売機
ぼくが何気なくジュースを買ってきてって言ったのさ。そしたら、「お金がないの?」って訊くんだよ。「あるよ、ほら」ってぼくが手に握った百円玉を渡そうとすると、新庄さんは、「あそこに自動販売機があるわ、見えない?」ってまた訊くの。「見えるよ」ってぼくが答えると、「じゃあ、さっさとワッパまわして行ってくればいいわ」と言うんだよ。

わたくしが読んでいるこの本は、
落合恵子著  『遅すぎたプロポーズ』(「男と女」収録。1990年10月20日印刷1990年11月5日発行)

落合恵子さんの書く文章は、なんというか、とっても女性的で、とても私の理解を飛び越えた表現や脈略が続いてひとつの文章を構成している。わたくし、女性作家の文章は嫌いではなく、明治期以降から現代までの女性作家の文章を好んで探して読んだものだが、落合恵子さんのような文章は他にはない。

明後日(平成22年2月28日)、小布施町図書館「まちとしょテラソ」に落合恵子さんがやってくるということで、長野駅前のブックオフに行って、105円のコーナーで見つけたのがこの、落合恵子さんの本「男と女」。
栞紐のあるところを開くと、ちょうどそこにその文章はありました。

なお、引用原文では、「ワッパ」に傍点が打たれていました。「ワッパ」とは文脈上、小判状の木曽漆器ではなくて、”ぼく”が乗っている車椅子を指すようです。
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by epole | 2010-02-26 23:38 | 小説にみる自販機


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